1789年世界 18世紀
アメリカ合衆国憲法は、1789年3月4日、新政府がその下での手続をニューヨークで開始した——フィラデルフィアでの署名(1787年9月17日)、9邦目ニューハンプシャーの批准(1788年6月21日)とは、いずれも別の日付である
日付と暦
- 原典表記
- 1789年3月4日(連合会議1788年9月13日決議〔SRC-01596〕・Owings v. Speed判決〔SRC-01598〕は「1789年3月の第1水曜日」と記すのみだが、米国官報系公式記録U.S. Statutes at Large第1巻23頁〔SRC-01600〕と合衆国上院公式表〔SRC-01601〕が「1789年3月4日」の日にちを直接記す。詳細はconversion_note参照)(グレゴリオ暦)
- 換算
- 1789-03-04(グレゴリオ暦)
- 掲載日
- 3月4日のページ
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概要
1788年9月13日、ニューヨークで開会していた連合会議(Confederation Congress)は、合衆国憲法の批准が正式に受理・保管されたことを確認し、1789年3月の第1水曜日(3月4日)を、この憲法の下での手続を開始する日と定める決議を可決した[SRC-01596]。合衆国最高裁判所も、1820年のOwings v. Speed判決で、憲法の運用(operation)はこの日より前には開始されなかったと判示している[SRC-01598]。この1789年3月4日という日付は、1787年9月17日にフィラデルフィア憲法制定会議の出席代議員が憲法に署名した日[SRC-01595][SRC-01599]、および1788年6月21日にニューハンプシャー邦の批准会議が批准し憲法第7条の定める9邦批准の要件を満たした日[SRC-01597][SRC-01599]とは、いずれも別の日付である。本記事が確認した出典の範囲では、日本語で一般に用いられる「発効」という語そのものを用いる出典は見当たらず、出典は「手続を開始する」「運用を開始する」という語を用いている。
本文
1787年5月から9月にかけて、フィラデルフィアで憲法制定会議が開かれた[SRC-01595]。9月17日、会議の出席代議員は最後の会合を開いた。高齢のベンジャミン・フランクリンが執筆した演説を、同僚ジェームズ・ウィルソンが代読したのち、ジョージ・メイソン、エルブリッジ・ゲリー、エドマンド・ランドルフの3名を除く出席代議員が合衆国憲法に署名し、会議は午後4時に閉会した[SRC-01595]。全米憲法センターも、この日を「会議において署名」の日と記す[SRC-01599]。
憲法第7条は、9邦の批准会議による批准をもって、批准したそれらの邦の間で当該憲法の制定に十分であると定めていた[SRC-01599]。1788年6月21日、ニューハンプシャー邦の批准会議は、同邦のGeneral Courtの決議による付託を受けて合衆国憲法を審議したうえで、これを批准する決議を採択した[SRC-01597]。この批准書を翻刻するAvalon Project(イェール大学ロースクール)の編集部注記は、ニューハンプシャーが批准順で9番目の邦であったと明記する[SRC-01597]。全米憲法センターも同日を批准日と記す[SRC-01599]。ニューヨークで開会していた連合会議は、同年7月2日、ニューハンプシャーの批准会議が憲法を承認したとの知らせを受け取り、当該憲法を運用に移すための委員会を設置した[SRC-01595]。
1788年9月13日、連合会議は、批准書が正式に受理され秘書官室(the Office of the Secretary)に保管されていることを確認したうえで、決議を可決した[SRC-01596]。決議は、1789年1月の第1水曜日を、それまでに憲法を批准していた各邦で大統領選挙人を選任する日と定め、同年2月の第1水曜日を、選挙人が集まって大統領を選出する投票を行う日と定め、そして同年3月の第1水曜日を、当該憲法の下での手続を開始する時期とし、連合会議の当時の所在地をその場所とすることを定めた[SRC-01596]。決議の操作条項自体は、この場所を「the present seat of Congress(連合会議の現在の所在地)」としか記さず、都市名を明記しない。「ニューヨーク」という都市名は、決議を翻刻するAvalon Projectのページ整理タイトル(「in the City of New York」)と、ニューヨークで開会していた連合会議の様子を記すNARAの解説記事[SRC-01595]から補われる。
この決議どおり、1789年3月4日、合衆国憲法の下での手続が開始された[SRC-01596][SRC-01600]。米国官報系公式記録U.S. Statutes at Large第1巻23頁は、「第1議会第1会期はニューヨーク市において1789年3月4日(水曜)に開かれ、同年9月29日まで続いた」という趣旨を直接記す[SRC-01600]。1820年、合衆国最高裁判所は、Owings v. Speed事件において、合衆国憲法の運用は1789年3月の第1水曜日より前には開始されなかったと判示した[SRC-01598]。同判決は、1787年9月のフィラデルフィア会議の決議(9邦批准後、連合会議が大統領選挙人選任日・投票日・「本憲法の下での手続開始の時期と場所」を定めるべきとした意見)と、これを受けて連合会議が1788年9月または10月に可決した決議の経緯を確認したうえで、この判断を示した[SRC-01598]。
歴史的背景
フィラデルフィア憲法制定会議では、通商をめぐる論点と結び付いて奴隷制をめぐる議論が争われた[SRC-01595]。メリーランドのマーティンが奴隷輸入への課税を提案したことをきっかけに、奴隷制の道徳的・経済的な位置づけをめぐる激しい議論となった[SRC-01595]。7月中旬、下院の議席配分を、白人住民と「その他の者(奴隷を指す婉曲表現)」の5分の3を合算する方式で定める妥協(いわゆる5分の3条項)が成立した[SRC-01595]。この妥協は当時から批判を招いた。会衆派牧師で奴隷制廃止論者のサミュエル・ホプキンスは、この憲法を「焼き捨てるにふさわしい文書」とみなし、自由のために戦った諸邦が奴隷制を容認し許可しない限りいかなる政治的な憲法にも合意できないとはどういうことかと会議を批判したと、NARAの解説記事は記録している[SRC-01595]。本サイトはこの評価に独自の判断を加えず、出典が記す当時の議論と批判をそのまま紹介する(本サイトの整理)。
タイムライン
| 日付(グレゴリオ暦) | 出来事 | 出典 |
|---|---|---|
| 1787年9月17日 | フィラデルフィア憲法制定会議の出席代議員が合衆国憲法に署名 | [SRC-01595][SRC-01599] |
| 1787年9月28日 | 連合会議、当該憲法を各邦の立法府へ送付し批准会議の審議に付すことを決議 | [SRC-01596] |
| 1788年6月21日 | ニューハンプシャー邦批准会議が批准。編集部注記によれば9邦目の批准達成 | [SRC-01597][SRC-01599] |
| 1788年7月2日 | 連合会議(ニューヨーク)、ニューハンプシャーの批准を知らせる報告を受理 | [SRC-01595] |
| 1788年9月13日 | 連合会議、大統領選挙人選任日・投票日・憲法下の手続開始日を定める決議を可決(本記事の主題の直接の出典) | [SRC-01596] |
| 1789年3月4日(1789年3月の第1水曜日) | 合衆国憲法の下での手続開始(本記事の主題) | [SRC-01596][SRC-01598][SRC-01600][SRC-01601] |
| 1820年 | 合衆国最高裁判所、Owings v. Speed判決で上記の経緯を確認 | [SRC-01598] |
異説・論争定説のない論点があります
確認された異説: なし(調査範囲: 米国立公文書記録管理局(NARA)「Founding Docs」の解説記事、イェール大学ロースクールAvalon Projectが公開する連合会議決議およびニューハンプシャー批准書の翻刻、全米憲法センターの合衆国憲法第7条ページ、合衆国最高裁判所Owings v. Speed判決〔Justia掲載〕、米国政府印刷局が刊行するU.S. Statutes at Large第1巻23頁〔govinfo.gov〕、および合衆国上院公式表「Dates of Sessions of the Congress」〔senate.gov〕。本セッションはWebSearchの予算超過〔他セッションと共有〕により追加のWeb検索ができず、WebFetch/curlおよびr.jina.ai経由での直接アクセスのみで調査した)。本記事が扱う署名(1787年9月17日)・批准達成(1788年6月21日)・手続開始(1789年3月4日)という3つの日付は、対立する学説ではなく、単一の連続した憲法制定過程における別々の段階であり、いずれの出典も互いに矛盾しない。強いて言えば、Owings v. Speed判決の本文には、新旧政府の交代を論じる一節(「旧連合会議は3月2日まで潜在的に存続した」)と、判示要旨が明記する「1789年3月の第1水曜日」との間に、字面上の緊張関係があるが、これは学説上の異説ではなく、本記事が確認した単一の判決文内部の記述の精度の問題であり、frontmatterのconversion_noteに記録した(本サイトの整理)。
| 論点 | 説 | 根拠・出典 | 学界での位置づけ |
|---|---|---|---|
| 該当なし(調査範囲は上記のとおり) | — | — | — |
関連する出来事
- 連合会議は、1789年2月の第1水曜日を、選挙人が大統領を選出する投票日と定めた[SRC-01596]。この投票を経て選出される初代大統領の就任そのものは、別の日付の出来事であり、本記事が確認した出典はその具体的な日付・氏名を明示していないため、本記事の射程外とする(本サイトの整理)。
- 1788年7月2日の批准受理(本文参照)は、同年6月21日のニューハンプシャー邦批准会議の議決(本記事の関連日付)そのものとは別の、連合会議側の手続である[SRC-01595]。
- 連合会議は、1787年9月28日、フィラデルフィア憲法制定会議が報告した憲法を各邦の立法府へ送付し、各邦人民が選出する代議員による会議(批准会議)の審議に付すことを決議した[SRC-01596]。これは同年9月17日の署名(本記事の関連日付)の直後の手続である。
関連人物
- ベンジャミン・フランクリン(べんじゃみん・ふらんくりん): 1787年9月17日、フィラデルフィア憲法制定会議の最終会合で、自ら執筆した演説を同僚ジェームズ・ウィルソンが代読し、憲法への一致団結を訴えた[SRC-01595]。
歴史的意義
本記事が確認した出典の範囲では、連合会議1788年9月13日決議とその後の慣行(大統領就任式が長らく3月4日に行われたこと等)との関係を直接論じる記述は見当たらず、本サイトはこの点について独自の評価を加えない(本サイトの整理)。本記事が確認できたのは、連合会議が1788年9月13日の決議により、合衆国憲法の下での手続開始という一回限りの出来事の日付・場所を定めたという事実と、合衆国最高裁判所が1820年のOwings v. Speed判決でこれを確認したという事実の範囲である。
現代の視点
フィラデルフィア会議で成立した5分の3条項(歴史的背景参照)は、当時から奴隷制廃止論者の批判を招いた妥協であったことを、NARAの解説記事自体が記録している[SRC-01595]。本サイトは、この妥協の当否について独自の現代的評価を加えるのではなく、出典が記す当時の批判をそのまま紹介するにとどめる(本サイトの整理)。また、「合衆国憲法の発効日」として一般に流通する1789年3月4日という日付について、本記事が確認した出典(連合会議決議、合衆国最高裁判所判決)のいずれも、日本語の「発効」に相当する語を用いず、「手続を開始する」「運用を開始する」という語を用いている点は、本記事の調査過程で見出した事実である(frontmatter参照)。
出典一覧
- [SRC-01595] A More Perfect Union(Founding Documents — The Constitution)/National Archives and Records Administration(米国立公文書記録管理局、NARA)(ランクS)
- [SRC-01596] Resolution of the Congress, of September 13, 1788, Fixing Date for Election of a President, and the Organization of the Government Under the Constitution, in the City of New York(Avalon Project — 18th Century Documents)/The Avalon Project, Lillian Goldman Law Library, Yale Law School(イェール大学ロースクール、Avalon Project)(ランクA)
- [SRC-01597] Ratification of the Constitution by the State of New Hampshire; June 21, 1788(Avalon Project — 18th Century Documents)/The Avalon Project, Lillian Goldman Law Library, Yale Law School(イェール大学ロースクール、Avalon Project)(ランクA)
- [SRC-01598] Owings v. Speed, 18 U.S. (5 Wheat.) 420 (1820)/Justia US Supreme Court Center(ランクB)
- [SRC-01599] Article VII(The Constitution — Interactive Constitution)/National Constitution Center(全米憲法センター)(ランクA)
- [SRC-01600] The Laws of the United States — Acts of the First Congress of the United States (U.S. Statutes at Large, Volume 1, p.23)/U.S. Government Publishing Office(GPO)/govinfo.gov(ランクS)
- [SRC-01601] Dates of Sessions of the Congress/United States Senate(ランクS)
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訂正履歴
| 版 | 日付 | 事実主張への変更 |
|---|---|---|
| 1 | 2026-09-19 | あり |
| 2 | 2026-09-19 | 不明 |
| 3 | 2026-09-19 | 不明 |
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