1906年世界 20世紀

ライト兄弟、『飛行機械』の特許を取得——出願は初飛行の約9カ月前、付与までに約3年を要した

日付と暦

原典表記
1906年5月22日(グレゴリオ暦)
換算
1906-05-22(グレゴリオ暦)
掲載日
5月22日のページ

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概要

1906年5月22日、合衆国特許局はオハイオ州デイトン在住のオーヴィル・ライトとウィルバー・ライトに、「飛行機械(Flying-Machine)」の特許(第821,393号。出願番号Serial No. 149,220)を付与した[SRC-02242]。出願は1906年の付与より約3年2カ月早い1903年3月23日に行われており、これは兄弟がノースカロライナ州キル・デビル・ヒルズで動力飛行を行う(1903年12月17日)約9カ月前のことだった[SRC-02242][SRC-00976]。この特許のクレームは第1項から第18項まであり、第1項は単一の翼面の側縁を動かす機構を、第12・13項は横方向制御とは別に水平舵単独の機構を、第14項は側縁可動構造に垂直舵・水平舵を組み合わせた構成を、それぞれ権利化している[SRC-02242]。この特許は後年、特に有名な例としてグレン・カーティスとの間で、三軸操縦(three-axis control)という「概念」を特許化したのか、横転制御(roll control)を実現する「機構」のみを特許化したのかを争う訴訟に発展し、Smithsonian Magazineはライト兄弟側が最終的に勝訴したと記す[SRC-02244]。

本文

特許明細書は、発明の目的を「機体の平衡・側方バランスの維持・回復」「機体を上下・左右に誘導する手段の提供」「軽量性・強度・製造の利便性その他の利点を兼ね備えた構造の提供」の3点と記す[SRC-02242]。実施形態として示されるのは、二枚の並行する重ね翼面(上翼・下翼)を、蝶番継手または自在継手を持つ支柱で結んだ構造である。翼面の前縁沿いに張ったロープが下翼前隅の滑車を通って上翼後隅に至り、その中央部に操縦者の体で左右に動かす「クレードル(cradle)」という操作台を備える。クレードルを一方へ動かすとロープが動き、翼の側縁部分がねじれて(ヘリコイダル・ワープ)、左右の翼面が気流に対して異なる迎角を示すようになる——これが横方向の平衡を回復させる仕組みである[SRC-02242]。クレーム第1項はこの側縁可動構造を「そのように動かす手段(means for so moving)」という形で機能的に記述している[SRC-02242]。さらに垂直舵・水平舵をこの機構に組み合わせた構成も、別のクレーム(第14項)として権利化されており、そのうち垂直舵を機体後方・水平舵を機体前方に置く構成は、さらに別のクレーム(第15項)として権利化されている[SRC-02242]。

Smithsonian Magazineによれば、出願手続きには特許弁護士ハリー・トゥールミンが関わり、出願を促して手続きを導いたとされる(謝礼20ドルの受取証が出願書類のフォルダに残っていた)[SRC-02244]。トゥールミンが具体的にいつから関与したかについては出典により記述が異なり、異説・論争欄に記す。出願は1903年3月、兄弟が動力機「フライヤー号」の製作をまだ終えていない時点で始まっており、特許の対象もこの動力機そのものではなく、1902年型グライダーでの数百回の飛行を通じて開発した制御方式だった[SRC-02244]。同誌は、特許審査官が当初この発明を理解できておらず、兄弟が「ねじり(warp)」「よじれ(twist)」といった用語の定義まで含む詳細な応答を何頁にもわたって重ね、螺旋状のねじれを指と親指の置き方で示す小さな厚紙の箱を手紙とともに送付したと記す[SRC-02244]。

歴史的背景

特許出願から約9カ月後の1903年12月17日、兄弟はノースカロライナ州キル・デビル・ヒルズで動力飛行を行った[SRC-00976]。特許出願は、兄弟が1902年型グライダーでの数百回の飛行を通じて開発した方式を、動力機の完成前の段階から権利化しようとする試みだった[SRC-02242][SRC-02244]。

タイムライン

日付(暦種別を明記) 出来事 出典
1903年3月23日(グレゴリオ暦) 「飛行機械」特許の出願(出願番号Serial No. 149,220) [SRC-02242]
1903年12月17日(グレゴリオ暦) 兄弟がキル・デビル・ヒルズで動力飛行を行う [SRC-00976]
1906年5月22日(グレゴリオ暦) 合衆国特許局が「飛行機械」特許(第821,393号)を付与(本記事の配置日) [SRC-02242]
1906年以降(グレゴリオ暦) グレン・カーティス等との間で、三軸操縦の「概念」か横転制御の「機構」かを争う特許訴訟に発展し、Smithsonian Magazineはライト兄弟側が最終的に勝訴したと記す [SRC-02244]
2016年(グレゴリオ暦) 誤って別のファイルに紛れ込んでいた(国立公文書館はmisfiledと記す)ため30年以上所在不明となっていた出願書類原本を、国立公文書館のアーキビストが別のライト兄弟特許の保管箱から再発見する [SRC-02243][SRC-02244]
異説・論争定説のない論点があります

本サイトが確認した出典の範囲では、特許が1906年5月22日に付与されたこと自体、および出願日(1903年3月23日)に異論はない。一方で、特許が実際に何を権利化していたのかという解釈には、後年の訴訟を通じて争いがあった。

論点 説 根拠・出典 学界での位置づけ
特許が権利化した範囲 三軸操縦(three-axis control)という「概念」そのものを広く特許化していた Smithsonian Magazineは、グレン・カーティス等との訴訟がこの点を争点にしたと記す [SRC-02244]。Smithsonian Magazineは最終的にライト兄弟側が勝訴したと記す
(同上) 横転制御(roll control)を実現する「機構」のみを特許化していた(カーティス側の主張とされる対立軸) Smithsonian Magazineは、カーティス側がこの立場で争ったことを示唆する記述をするが、カーティス側自身の主張の逐語は本サイトが確認した出典の範囲では到達できていない [SRC-02244]。本サイトはカーティス側の立場を直接の出典で確認できておらず、Smithsonian Magazineの記述に基づく紹介にとどめる
トゥールミンが特許弁護士として関わった時期 出願手続きに関わり、出願を促したとされる Smithsonian Magazineは、トゥールミンが出願を促し手続きを導いたと記す [SRC-02244]
(同上) 起用は出願(1903年3月)の約10カ月後、1904年1月だった LOC科学技術部編纂のRenstrom年表は、ライト兄弟が1904年1月14日にトゥールミンへ連絡して、1月22日にウィルバーがスプリングフィールドでトゥールミンに会い、係属中の特許出願案件を託したと記す [SRC-02245]。本サイトはどちらの記述が出願全体への関与の性格を正確に表すかを判定しない

関連する出来事

関連人物

歴史的意義

特許が実際に何を権利化していたかは、後年のカーティスとの訴訟を通じて争われた。Smithsonian Magazineは、この争いがグレン・カーティスとの間で特に有名になったと記す[SRC-02244]。

出典一覧

  1. [SRC-02242] US821393A - Flying-machine(Orville Wright and Wilbur Wright)/合衆国特許局(United States Patent Office)/収載: Google Patents(ランクS)
  2. [SRC-02243] Finding a Misplaced Piece of History at the Archives(Prologue Magazine, Summer 2016, Vol. 48, No. 2)/National Archives and Records Administration(米国国立公文書館)/著者: David McMillen(ランクA)
  3. [SRC-02244] Wright Brothers' Long-Lost Patent Gets a Private Family Viewing(Smithsonian Magazine, Air & Space)/Smithsonian Magazine(Smithsonian Institution)/著者: Paul Glenshaw(ランクB)
  4. [SRC-02245] Wilbur & Orville Wright: A Chronology/Arthur G. Renstrom(著)。米国議会図書館科学技術部(原刊 1975年)/NASA History Division(NASA SP-2003-4532として再刊、2003年)(ランクA)
  5. [SRC-00976] 1903-The First Flight/Wright Brothers National Memorial, U.S. National Park Service(ランクA)

本文中の [SRC-nnnnn] はこの一覧の番号を指します。各出典の所在・参照日・信頼度の判定は検証記録で確認できます。

訂正履歴

版日付事実主張への変更
12026-10-07—
22026-10-07あり
32026-10-07あり
42026-10-07なし

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