1918年世界 20世紀

米国、サマータイム法を制定——第一次大戦下の燃料節約策、標準時間帯の法制化と同時に

日付と暦

原典表記
1918年3月19日(グレゴリオ暦)
換算
1918-03-19(グレゴリオ暦)
掲載日
3月19日のページ

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概要

1918年3月19日、連邦議会と大統領が「標準時法(Standard Time Act of 1918。通称カルダー法)」を制定した[SRC-01716][SRC-01717][SRC-01719]。第一次世界大戦の渦中、戦時産業向けの燃料を節約し夕方の活動時間を実質的に延ばす狙いから、米国史上初めて全国規模のサマータイム制度が創設された[SRC-01717][SRC-01718]。同じ法律は、それまで鉄道会社の私的な取り決めにすぎなかった標準時間帯を、連邦法として初めて公式に定めるものでもあった[SRC-01717][SRC-00738]。同法第3条は、毎年3月の最終日曜日午前2時に時計を1時間進める規定(サマータイム条項)を置いた[SRC-01716]。だが戦争が終わると制度への反発が強まり、1919年8月20日、連邦議会はウィルソン大統領の拒否権を覆してサマータイム条項のみを廃止し[SRC-01719]、標準時間帯の規定だけが法律として残った[SRC-01718][SRC-01719]。

本文

米国では1883年11月、鉄道各社が独自に標準時間帯を導入していた[SRC-00738]。しかしこれはあくまで鉄道業界の私的な取り決めであり、連邦法としての裏付けを持たない状態が35年近く続いた[SRC-00738]。米国は第一次世界大戦に参戦してから1年足らずで、戦時産業向けの燃料節約と、夕方の日照を有効に使うための時計繰り上げ制度(サマータイム)を定める法律を成立させるに至った[SRC-01717]。当時すでに欧州の少なくとも12か国がサマータイムを採用しており、米国もこれに続く形となった[SRC-01717]。

上院提出の法案(S. 1854)は下院を経て、1918年3月19日、法律として成立した[SRC-01716][SRC-01719]。正式な表題は「合衆国のために日照を節約し、標準時を定める法律」であり、本文は5節構成である(冒頭の制定文と一体の第1節に続き、番号を持つ第2条〜第5条が置かれる)[SRC-01716]。第1条・第4条は米国本土とアラスカを東部・中部・山岳部・太平洋・アラスカの5つの標準時間帯に区分し、第2条はこの標準時が州際運輸業者の運行や連邦政府の公的行為の基準時となる旨を定めた[SRC-01716]。そして第3条が、毎年3月の最終日曜日午前2時に時計を1時間進め、10月の最終日曜日午前2時に元へ戻す規定、すなわちサマータイム条項である[SRC-01716][SRC-01719]。標準時間帯の法制化とサマータイムの創設は、別々の法律ではなく、この1本の法律が同時に定めたものだった[SRC-01716][SRC-01719][SRC-00738]。

同法が「制定」されたのは1918年3月19日だが[SRC-01716]、第3条が定めるサマータイム条項の適用開始日は、前述のとおり暦日ではなく曜日規則(毎年3月の最終日曜日午前2時)によって定められている[SRC-01716][SRC-01719]。審議では反対論も根強く、下院ではアーカンソー州選出議員オーティス・ウィンゴーが「この法案は、朝早く起きるのが面倒な怠け者を救済するためのものだ」と皮肉る場面もあった[SRC-01717]。それでも法律は成立し、ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、同法の規定により80万トン超(約5%相当)の石炭節約を見込めると推計した[SRC-01717]。

歴史的背景

標準時間帯そのものは1883年に鉄道会社の主導で導入され、実用上の利点から徐々に普及したが、法的な裏付けを欠いていた[SRC-00738]。第一次世界大戦下の総力戦体制のもとでは、石炭をはじめとする資源の節約が国家的な課題となり、夕方の人工照明の使用を減らせるサマータイムは、その具体策の一つとして各国で採用が進んだ[SRC-01717][SRC-01719]。米国のサマータイム採用は、第一次世界大戦中の欧州での採用に先行された、と米国議会調査局は整理している[SRC-01719]。標準時法は、こうした戦時下の燃料節約という実利的な要請と、鉄道業界がすでに築いていた5時間帯の枠組みを、1本の法律にまとめる形で成立した[SRC-01716][SRC-01717]。

タイムライン

日付(暦種別を明記) 出来事 出典
1883-11-18(グレゴリオ暦) 鉄道各社が標準時間帯を私的な取り決めとして導入(本記事の主題の前史・射程外) [SRC-00738]
1918-03-19(グレゴリオ暦) 連邦議会と大統領が標準時法を制定し成立(本記事の主題・配置日) [SRC-01716][SRC-01717][SRC-01719]
1919-08-20(グレゴリオ暦) 連邦議会がウィルソン大統領の拒否権を覆し、サマータイム条項のみを廃止(標準時間帯の規定は存続) [SRC-01718][SRC-01719]
1942(本記事の主題の射程外) 第二次世界大戦下、連邦議会が再びサマータイムを制定 [SRC-01718]
異説・論争定説のない論点があります

確認された異説: なし(調査範囲: 議会調査局の年表・脚注[SRC-01719]、下院歴史局のブログ記事[SRC-01717]の2出典。1919年8月20日のサマータイム条項廃止について、議会調査局は「連邦議会がウィルソン大統領の拒否権を覆した(overrode a veto)」と明記する一方[SRC-01719]、下院歴史局は下院通過時の票差が拒否権の構え(veto threat)を無力化したという表現にとどまり、実際の拒否権行使・オーバーライドそのものには触れていない[SRC-01717]。これは記述の詳細さの違いであり、対立する事実主張ではないため異説としては扱わない)。

関連する出来事

1883年11月18日、鉄道各社が標準時間帯を私的な取り決めとして導入した。標準時法はこれを連邦法として初めて法制化したものである[SRC-00738]。

1942年、第二次世界大戦下で連邦議会は年間を通じたサマータイムを再び定めた(本記事の主題の射程外)[SRC-01718][SRC-01719]。

1966年、統一時間法(Uniform Time Act)がサマータイムの観測期間を改めて定めた(現行の観測期間はその後の法改正を経て定まっている。本記事の主題の射程外)[SRC-01719]。

関連人物

ウッドロウ・ウィルソン(うっどろう・うぃるそん): 米国大統領(当時)。標準時法のサマータイム条項を廃止する法案に拒否権を行使したが、連邦議会は1919年8月20日にこれを覆した[SRC-01718][SRC-01719]。

歴史的意義

標準時法は、米国史上最初の全国的なサマータイム制度の法制化であり[SRC-01718]、同時に、それまで鉄道会社が主導していた標準時間帯を連邦法として初めて公式に位置づけるものでもあった[SRC-01717][SRC-00738]。サマータイム条項は戦後1年余りで廃止されたが、同法が定めた5つの標準時間帯の枠組みは、その後1966年の統一時間法による見直しを経てもなお、現行の米国の時間帯制度の基盤であり続けている[SRC-01719]。

現代の視点

サマータイム条項は、1942年の第二次世界大戦下をはじめ、その後も繰り返し復活と見直しを重ねてきた(本記事の主題の射程外)[SRC-01718][SRC-01719]。議会調査局の報告書は、交通安全・省エネルギー効果・健康影響などサマータイムの是非をめぐる論点を整理しているが、いずれについても確立した結論を示しているわけではない(本サイトはこれを本記事の主題の射程外として深入りしない)[SRC-01719]。1918年当時、支持派が燃料節約を根拠にサマータイム法制化を訴えた構図は、100年以上を経た現在もなお形を変えて続く論点である。

出典一覧

  1. [SRC-01716] Statutes at Large, Volume 40 (65th Congress, Sess. II), Chs. 21-24, p.450-451 — CHAP. 24: An Act To save daylight and to provide standard time for the United States/U.S. Government Publishing Office (govinfo.gov)(ランクS)
  2. [SRC-01717] Time Travel: Daylight Saving Time and the House/Office of the Historian, U.S. House of Representatives(ランクA)
  3. [SRC-01718] World War I and Daylight Savings Time/Library of Congress ("Teaching with the Library" blog)(ランクA)
  4. [SRC-01719] Daylight Saving Time (DST)/Congressional Research Service (via congress.gov, Library of Congress)(ランクA)
  5. [SRC-00738] U.S. Time Zones/U.S. Naval Observatory, Astronomical Applications Department(ランクA)

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訂正履歴

版日付事実主張への変更
12026-09-27—
22026-09-28あり
32026-09-28あり

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