1957年世界 20世紀

ローマ条約調印——1957年3月25日、EECとEURATOMを生んだ『2つの条約』

日付と暦

原典表記
1957年3月25日(グレゴリオ暦)
換算
1957-03-25(グレゴリオ暦)
掲載日
3月25日のページ

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概要

1957年3月25日、ローマのカピトリーノにあるホール・オブ・オラーツィ・エ・クリアーツィで、欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)に加盟する6か国(ベルギー・フランス・西ドイツ・イタリア・ルクセンブルク・オランダ)の代表が条約に調印した[SRC-01768]。この日に調印されたのは1つの条約ではなく、欧州経済共同体(EEC)を設立する条約と、欧州原子力共同体(EURATOM、またはEAEC)を設立する条約という、2つの別個の条約である[SRC-01764][SRC-01767][SRC-01768][SRC-01769]。両条約はともに1958年1月1日に発効した[SRC-01764][SRC-01765][SRC-01766]。今日、この2条約は合わせて「ローマ条約」(単数形の場合も、複数形の場合もある)と呼ばれる[SRC-01765][SRC-01766]。この2条約は、石炭鉄鋼条約の成功を土台として、6か国の協力を他の経済分野へ拡大するものだった[SRC-01765]。

本文

1957年3月25日、ローマのカピトリーノ(Capitol)にあるホール・オブ・オラーツィ・エ・クリアーツィで調印式が行われた[SRC-01768]。調印したのは、ベルギー(ポール=アンリ・スパーク、ジャン=シャルル・スノワ・デュペール男爵)、フランス(クリスチャン・ピノー、モーリス・フォール)、ドイツ連邦共和国(西ドイツ。コンラート・アデナウアー、ヴァルター・ハルシュタイン)、イタリア(アントニオ・セニ、ガエターノ・マルティーノ)、ルクセンブルク(ジョゼフ・ベッシュ、ランベール・ショース)、オランダ(ヨーゼフ・ルンス、ヨハネス・リントホルスト=ホマン)の各国代表2名ずつ、合計12名だった[SRC-01768]。

この日に署名されたのは2つの条約であり、1つは欧州経済共同体(EEC)を設立する条約、もう1つは欧州原子力共同体(EURATOM、またはEAEC)を設立する条約である[SRC-01764][SRC-01767][SRC-01769]。EEC条約は、加盟6か国の間に共同市場を創設し、貿易拡大を通じて経済成長を促進することを目的としていた[SRC-01764]。EURATOM条約は、原子力の平和利用の分野で加盟国が資源を共有し、より速く低コストで開発を進められるようにする法的枠組みを設けるものだった[SRC-01769]。

両条約は無期限で締結され(EEC条約第240条・EURATOM条約第208条)[SRC-01769]、1958年1月1日に発効した[SRC-01764][SRC-01765][SRC-01766]。

歴史的背景

第二次世界大戦後、6か国の政府は、ヨーロッパ経済を再建し、大陸に永続的な平和を確保するための欧州統合をさらに進める方法を模索していた[SRC-01769]。1951年、フランスと西ドイツが欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)を設立した[SRC-01767]。ECSCは、両国の石炭・鉄鋼産業を統合するもので、フランス側はこれを主にドイツの産業を監視する手段として提案し、西ドイツ側もドイツの軍事化への懸念を和らげるためこれに即座に同意したと伝えられる[SRC-01767]。イタリアと、ベルギー・オランダ・ルクセンブルクからなるベネルクス経済同盟の3か国も、まもなくこれに加わった[SRC-01767]。

ECSCに続き、欧州防衛共同体(EDC)と、その制度的な裏付けとなるはずだった欧州政治共同体(EPC)の構想が示されたが、フランス国民議会がドイツの再軍備につながるEDCの設立に反対し、1954年8月にEDC条約を否決したため、両構想は放棄された[SRC-01769]。

1955年6月、イタリアで開催されたメッシーナ会議で、欧州統合のプロセスが再び動き出した[SRC-01769]。「あらゆる関税およびあらゆる数量制限から自由な共通の欧州市場」を経済分野で協力して構築するという決定が、1957年3月25日のローマ条約調印へとつながった[SRC-01769]。EEC条約の前文は、6か国の政府が「欧州諸国民の間により緊密な連合の基礎を確立することを決意し」たと記している[SRC-01769]。

タイムライン

日付(暦種別を明記) 出来事 出典
1951年(グレゴリオ暦) 欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)が設立される(本記事の主題の射程外。フランスと西ドイツによる設立と記すのは[SRC-01767]。[SRC-01765]は1951年の条約調印と1952年のECSC発足を区別して記す。[SRC-01766]も1951年と記す。[SRC-01769]は1952年に6か国政府が設立したと記す) [SRC-01765][SRC-01766][SRC-01767][SRC-01769]
1954年8月(グレゴリオ暦) フランス国民議会が欧州防衛共同体(EDC)条約を否決し、EDC・EPC構想が放棄される(本記事の主題の射程外) [SRC-01769]
1955年6月(グレゴリオ暦) イタリアでメッシーナ会議が開催される(本記事の主題の射程外) [SRC-01769]
1957年3月25日(グレゴリオ暦) ローマでEEC条約・EURATOM条約が調印される(本記事の主題) [SRC-01764][SRC-01767][SRC-01768][SRC-01769]
1958年1月1日(グレゴリオ暦) EEC条約・EURATOM条約が発効する [SRC-01764][SRC-01765][SRC-01766]
1967年(グレゴリオ暦) EEC・ECSC・EURATOMの機関が統合され欧州共同体(EC)となる(HISTORY.comの記述。本記事の主題の射程外) [SRC-01767]
1993年(グレゴリオ暦) マーストリヒト条約の批准により欧州連合(EU)が発足する(HISTORY.comの記述。本記事の主題の射程外) [SRC-01767]
異説・論争定説のない論点があります

本サイトが確認した範囲では、調印日(1957年3月25日)・発効日(1958年1月1日)・調印6か国・条約が2本立てであることについて、出典間の実質的な対立は見当たらなかった。一方、以下の点で出典間に表記・記述の相違がある。

論点1: 条約の呼称は単数形か複数形か。欧州議会公式サイトは、見出し("Treaty of Rome")では単数形を用いる一方、同じページの後段では「ローマ条約とともに(With the Treaties of Rome)」と複数形も用いている[SRC-01764]。EU公式ポータルの年表ページも同様に、導入部の要約文では単数形「the Treaty of Rome」、年表項目の見出しでは複数形「25 March 1957 – Treaties of Rome」と、同一ページ内で両方の表記が現れる[SRC-01765]。欧州委員会図書館の案内ページも単数形("the Treaty of Rome")と複数形("the Treaties of Rome")の両方を用いており、統一されていない[SRC-01766]。米国議会図書館の解説は、本文では複数形「Treaties of Rome」を用いる一方、ページの題名は「the Rome Treaties」と表記する[SRC-01769]。ルクセンブルク大学運営のCVCEアーカイブは「Treaties of Rome」という表記を用いず、条約を個別に列挙する表現(「the Treaties establishing the European Economic Community (EEC) and the European Atomic Energy Community (EAEC or Euratom)」)をとる[SRC-01768]。本サイトが確認した範囲では、どちらが正式な呼称であるかを述べる記述は見当たらなかった。2つの条約が同日に調印されたという事実そのものが、この表記の相違の背景にあると考えられる(この説明自体は本サイトの整理である)。

論点2: 「ドイツ」の国名表記。CVCEおよびHISTORY.comは、1957年当時の西ドイツを指して「ドイツ連邦共和国(Federal Republic of Germany)」「西ドイツ(West Germany)」と明記する[SRC-01767][SRC-01768]。一方、欧州議会・EU公式ポータルは、いずれも単に「ドイツ(Germany)」とのみ記し、東西の区別を明示していない[SRC-01764][SRC-01765]。1957年当時のドイツは東西に分断されており、条約に調印したのはそのうち西側のドイツ連邦共和国である(東西ドイツの統一は1990年)[SRC-01767]。本記事では、CVCE・HISTORY.comの明示的な表記に従い「西ドイツ」と記載する。

論点 説 根拠・出典 学界での位置づけ
条約の呼称 単数形「Treaty of Rome」 [SRC-01764][SRC-01765][SRC-01766] 欧州議会・EU公式ポータル・欧州委員会図書館が用いる表記の一部(3出典とも複数形も併用し統一されていない)
条約の呼称 複数形「Treaties of Rome」 [SRC-01764][SRC-01765][SRC-01766][SRC-01769] 上記3出典が同一ページ内で併用する表記に加え、米国議会図書館が本文で用いる表記(ページ題名は「the Rome Treaties」)。CVCEアーカイブ([SRC-01768])は本文でこの表記自体を用いない
ドイツの国名表記 単に「ドイツ(Germany)」と記す [SRC-01764][SRC-01765] 欧州議会・EU公式ポータルが採る表記(当時の東西分断を明示しない)
ドイツの国名表記 「西ドイツ(ドイツ連邦共和国)」と明記する [SRC-01767][SRC-01768] HISTORY.com・CVCEが採る表記(当時の東西分断を明示する)

関連する出来事

ローマ条約は、1951年に設立された欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)に続く欧州統合の制度化であり、ECSC加盟6か国がそのままEEC・EURATOMの原加盟国となった[SRC-01767][SRC-01768]。HISTORY.comの記述によれば、EEC・ECSC・EURATOMの3機関は1967年に欧州共同体(EC)として統合され、1993年のマーストリヒト条約批准を経て欧州連合(EU)の基礎となった[SRC-01767](詳細は「現代の視点」参照)。

関連人物

本記事が扱う調印という出来事の主体は6か国政府であり、個々の署名者の経歴を深く掘り下げる主題ではないため、Entityとしての人物登録は行っていない。調印式に列席した代表12名の氏名は、CVCE(ルクセンブルク大学運営のデジタルアーカイブ)が写真解説として記録しており、上記「本文」に出典付きで列挙した[SRC-01768]。

歴史的意義

欧州委員会図書館の案内ページが紹介するオックスフォード・リサーチ・エンサイクロペディア(政治学、キラン・クラウス・パテル執筆、2019年)は、1951年のパリ条約(ECSC設立)とともに、2つのローマ条約(1957年)が今日の欧州連合の基礎となる条約であり、2つのローマ条約のうちではEECを設立した条約の方がより影響力があったと評している[SRC-01766]。

米国議会図書館の解説によれば、EURATOM条約は今日も効力を持ち、欧州連合とは別個の法人格を保っているのに対し、EEC条約はその後の一連の条約によって置き換えられており、欧州委員会図書館の案内ページは、現在この条約が「欧州連合の機能に関する条約」と呼ばれていると紹介している[SRC-01766][SRC-01769]。

現代の視点

HISTORY.comの記述によれば、EEC・ECSC・EURATOMの3機関は1967年に単一の閣僚理事会・議会・裁判所の下で欧州共同体(EC)として統合され、1993年のマーストリヒト条約批准を経て欧州連合(EU)の基礎となり、2009年にはEECがEUの枠組みに吸収されたとされる[SRC-01767]。米国議会図書館の解説は、EURATOM条約が今日も効力を持ち独自の法人格を保つ一方、EEC条約はその後の諸条約によって置き換えられてきたと説明しており、2つの条約のその後の歩みが同一ではなかったことを示している[SRC-01769](この対比の整理自体は本サイトによるものである)。

出典一覧

  1. [SRC-01764] Treaty of Rome/European Parliament(ランクA)
  2. [SRC-01765] History of the European Union – 1945-59/European Union(Directorate-General for Communication運営の公式ポータル)(ランクA)
  3. [SRC-01766] Introduction - Treaty of Rome - EC Library Guides at European Commission Library/European Commission Library(ランクB)
  4. [SRC-01767] Europe's Common Market founded in major step toward economic unity/HISTORY(A&E Television Networks)(ランクB)
  5. [SRC-01768] Signing of the EEC and EAEC Treaties (Rome, 25 March 1957)/CVCE(Centre Virtuel de la Connaissance sur l'Europe)/ルクセンブルク大学(University of Luxembourg)(ランクA)
  6. [SRC-01769] 60-Year Anniversary of the Rome Treaties/米国議会図書館(Library of Congress)/In Custodia Legis(法律図書館ブログ)(ランクA)

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訂正履歴

版日付事実主張への変更
12026-09-28—
22026-09-28不明
32026-09-28不明

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