1920年世界 20世紀

ウィルソンが提唱した国際連盟、条約発効の日に発足——提唱国アメリカは加盟せず

日付と暦

原典表記
1920年1月10日(グレゴリオ暦)
換算
1920-01-10(グレゴリオ暦)
掲載日
1月10日のページ

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概要

1919年1月、パリ講和会議に乗り込んだ米大統領ウッドロウ・ウィルソンは、恒久平和のための国際機構の創設を会議の最優先課題の一つに据えるよう主張した[SRC-01171][SRC-01172]。この構想は「国際連盟規約」としてまとめられ、ヴェルサイユ条約の第一部に組み込まれた[SRC-01172][SRC-01175]。1920年1月10日、条約が発効するとともに規約も効力を持ち、国際連盟はこの日をもって正式に発足した[SRC-01168][SRC-01175][SRC-01171]。だが提唱者ウィルソンの母国アメリカは、上院が条約の批准を二度にわたり否決した末、国際連盟に加盟しないまま連盟の活動が始まった[SRC-01169][SRC-01172]。

本文

ウィルソンが国際的な平和機構の構想を公にしたのは、1918年1月8日、連邦議会での「十四か条」の演説だった。その最後の項目で彼は、「大小を問わずすべての国家に政治的独立と領土保全の相互保証を与えることを目的とした、明確な規約の下に組織される国家の一般的な連合」の結成を呼びかけた[SRC-01172]。ブリタニカ百科事典も、1918年1月のこの演説でウィルソンが同種の「国家の一般的な連合」の結成を呼びかけたと記しており、演説の趣旨は複数の出典で一致している[SRC-01171]。

1919年1月にパリで講和会議が開かれると、ウィルソンは国際連盟の創設を会議の最初の議題の一つとするよう強く求めた[SRC-01171]。会議に持ち込まれた各国の構想は速いスピードで一本化され、数週間のうちに規約の文言について合意が成立したとブリタニカ百科事典は記す[SRC-01171]。ウィルソンはフランスのジョルジュ・クレマンソー、英国のデイヴィッド・ロイド=ジョージとともに、この規約を講和条約——ヴェルサイユ条約——の第一部として起草した[SRC-01172]。ヴェルサイユ条約は1919年6月28日に調印されたとWorld History Encyclopediaは記す[SRC-01173]。

条約と規約は、調印から半年余りを経た1920年1月10日、条約の発効により正式に効力を発生させた。国連ジュネーブ事務局は、この日をもって「国際連盟が正式に存在するに至った」と説明する[SRC-01168][SRC-01175]。連盟の本部(規約の呼称は「連盟の所在地」)は、規約第7条により明文でジュネーブに置かれ[SRC-01170]、運営組織は総会・理事会・常設事務局からなり、事務局はまずパレ・ウィルソンに、後にパレ・デ・ナシオンに置かれたと国連ジュネーブ事務局は記す[SRC-01175]。

発足から10か月余りを経た1920年11月15日、ジュネーブで史上初の連盟総会が開かれ、41か国が参加した[SRC-01168][SRC-01174]。なお国連ジュネーブ事務局は、1919年時点の原加盟国42か国とは別に、連盟の存続期間全体では延べ63か国が加盟した(同時加盟の最大は60か国)とも記しており、両者は集計の基準が異なる数字である[SRC-01168][SRC-01175]。

歴史的背景

第一次世界大戦の甚大な損害は、戦争の再発を防ぐ恒久的な国際機構を求める世論を強めた。ブリタニカ百科事典は、戦争の教訓——集団安全保障の必要性、秘密外交への不信、軍拡競争への反省——が「国際連盟」という構想の土台になったと説明する[SRC-01171]。同事典によれば、「国際連盟」という名称自体は早くも1915年春には構想を議論する小グループの間で用いられており、米国のウィリアム・タフト元大統領、英国のエドワード・グレイやロバート・セシルら政治家の支持を得て徐々に広まったという[SRC-01171]。1916年の米大統領選挙では、与野党とも将来の連盟への米国加盟を公約に掲げていたとブリタニカ百科事典は記す[SRC-01171]。

タイムライン

日付(グレゴリオ暦) 出来事 出典
1918年1月8日 ウィルソン、連邦議会演説「十四か条」の最後の項目で「国家の一般的な連合」の結成を呼びかける [SRC-01172][SRC-01171]
1919年1月 パリ講和会議開催。ウィルソン、国際連盟創設を最優先議題とするよう主張 [SRC-01171]
1919年6月28日 ヴェルサイユ条約調印。国際連盟規約はその第一部として組み込まれる [SRC-01173][SRC-01172]
1919年11月19日 米国上院、ヴェルサイユ条約の批准を史上初めて否決 [SRC-01169]
1920年1月10日 ヴェルサイユ条約発効。国際連盟規約も効力を持ち、国際連盟が正式に発足 [SRC-01168][SRC-01175][SRC-01171][SRC-01174]
1920年3月 米国上院、条約と規約の批准を再び否決(賛成49・反対35) [SRC-01172]
1920年11月15日 ジュネーブで史上初の連盟総会が開かれ、41か国が参加 [SRC-01168][SRC-01174]
1946年4月19日 国際連盟、正式に解散 [SRC-01171]
異説・論争定説のない論点があります

出典を調査した範囲では、国際連盟の発足日そのもの(1920年1月10日)や法的な発足の仕組みについて、実質的な異説は確認されなかった。一方で、次の2点については出典間で記述の重点・評価の濃淡に相違があり、いずれも本サイトはどちらが正確かを判定しない。

米国不参加が連盟の実効性に与えた影響の評価: 米国務省歴史局の解説は「多くの歴史家は、米国の参加なしには連盟は本来よりもはるかに実効性の低い状態で機能したとみなしている」と記す[SRC-01172]。一方、World History Encyclopediaは、米国が当初から連盟に加わらなかったことを「その野望に対する大きな打撃」と評する[SRC-01173]。両者は「米国不参加が連盟にとって否定的な出来事だった」という点では一致するが、その深刻さの表現の強さには濃淡がある。

米国上院が条約批准を否決した理由の重点の置き方: 米国上院歴史局の解説は、ウィルソンと上院外交委員長ヘンリー・カボット・ロッジの個人的な確執、および1919年秋のウィルソンの体調悪化が妥協を妨げたことを重点的に描く[SRC-01169]。一方、米国務省歴史局の解説は、ロッジらが「連盟への加盟は米国に高額な負担を強いる組織への関与を招き、自国の利益を守る能力を損なう」と懸念した実質的な政策上の対立を重点的に描く[SRC-01172]。両者は矛盾するものではなく、同じ否決という結果について異なる側面を強調していると考えられる。

論点 説 根拠・出典 学界での位置づけ
米国不参加が連盟の実効性に与えた影響 米国の参加なしには、連盟は本来よりもはるかに実効性の低い状態で機能した [SRC-01172] 米国務省歴史局の解説(「多くの歴史家」の見解として紹介)
米国不参加が連盟の実効性に与えた影響 米国が当初から加わらなかったことは、連盟の野望に対する大きな打撃だった [SRC-01173] World History Encyclopediaの評価
米国上院が条約批准を否決した理由 ウィルソンとロッジの個人的確執、およびウィルソンの体調悪化による妥協拒否が主因 [SRC-01169] 米国上院歴史局の解説
米国上院が条約批准を否決した理由 連盟加盟が米国に高額な負担を強いる組織への関与と欧州政治への関与拡大を招くという実質的懸念が主因 [SRC-01172] 米国務省歴史局の解説

関連する出来事

関連人物

歴史的意義

国際連盟は、国際協力と国際平和・安全の実現を目的として設立された最初の政府間機構だったと国連ジュネーブ事務局は位置づける[SRC-01168]。History.comは、1946年に国際連盟が解散し国際連合が発足した際、国際連合は連盟の失敗を繰り返さないよう、より広い国際的な支持と充実した機構を備えて設計されたと記している[SRC-01174]。本記事は、国際連盟の発足という出来事と、その発足に米国が加わらなかったという経緯までを射程とし、これ以降の連盟の活動史や、国際連合そのものの制度設計の当否には立ち入らない(本稿の整理)。

現代の視点

国際連盟の記録文書群は、国連ジュネーブ事務局の図書館・文書館が管理する「国際連盟文書」として保存されており、その歴史的価値はユネスコの「世界の記憶」に2009年に登録されている[SRC-01168][SRC-01175]。1920年1月10日という一つの発効日から歩みを始めた組織の記録が、100年余りを経て人類共通の記憶遺産として保存の対象になっている(本稿の整理)。

出典一覧

  1. [SRC-01168] The League of Nations: overview/The United Nations Office at Geneva (UNOG)(ランクA)
  2. [SRC-01169] Senate Rejects the Treaty of Versailles/U.S. Senate Historical Office(ランクA)
  3. [SRC-01170] The Covenant of the League of Nations (Including Amendments adopted to December, 1924)/The Avalon Project, Lillian Goldman Law Library, Yale Law School(ランクS)
  4. [SRC-01171] League of Nations | History, Definition & Purpose/Encyclopaedia Britannica(ランクB)
  5. [SRC-01172] The League of Nations, 1920 (Milestones in the History of U.S. Foreign Relations)/U.S. Department of State, Office of the Historian(ランクA)
  6. [SRC-01173] League of Nations/World History Encyclopedia(ランクB)
  7. [SRC-01174] League of Nations instituted (This Day in History: January 10)/HISTORY.com (A&E Television Networks)(ランクB)
  8. [SRC-01175] History of UN Library in Geneva/The United Nations Office at Geneva (UNOG)(ランクA)

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訂正履歴

版日付事実主張への変更
12026-09-16あり
22026-09-16あり

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