2007年世界 21世紀
スティーブ・ジョブズが発表したのは、まだ売られていない電話機だった——iPhone発表、発売は半年近く後
日付と暦
- 原典表記
- 2007年1月9日(グレゴリオ暦)
- 換算
- 2007-01-09(グレゴリオ暦)
- 掲載日
- 1月9日のページ
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概要
2007年1月9日、Apple(当時の社名はApple Computer, Inc.)の最高経営責任者スティーブ・ジョブズは、サンフランシスコで開催されたMacworld Expoの場で、携帯電話・iPod・インターネット通信機器を一台に統合した新製品iPhoneを発表した[SRC-01160][SRC-01165]。ジョブズはこの製品を、既存のどの携帯電話よりも先んじた画期的な製品だと自ら評した("a revolutionary and magical product that is literally five years ahead of any other mobile phone")[SRC-01160]。同じ場で、社名をApple Inc.へ改めることも発表されたと業界メディアは記す[SRC-01165]。この定款変更自体は同日付でApple自身が行い、SECへの提出書類(Form 8-K)で確認できる[SRC-01161]。ただしこの日発表されたのは製品の存在と仕様にとどまり、Apple自身の告知によれば、iPhoneが実際に米国で発売されたのは同年6月29日のことである[SRC-01166]。
本文
Apple社のプレスリリースによれば、iPhoneは大型のマルチタッチディスプレイに基づく新しいユーザーインタフェースを採用し、指先だけで操作できる点を特徴とすると説明された("an entirely new user interface based on a large multi-touch display")[SRC-01160]。画面は3.5インチのワイドスクリーン、カメラは200万画素、通信方式はクアッドバンドGSM・EDGE・Wi-Fi対応とされ、価格は4GBモデルが499ドル、8GBモデルが599ドル(いずれも米国)と示された[SRC-01160]。米国での通信事業者としてCingularとの独占提携も発表された[SRC-01160]。
もっとも、この時点でiPhoneはまだ出荷されていない。プレスリリース自身も、出荷開始(6月)に先立ってAppleとCingularがサービスプランを発表するとしており("Apple and Cingular will announce service plans for iPhone before it begins shipping in June.")、発表と発売が別の出来事であることを明記している[SRC-01160]。実際の米国発売日は、Apple自身の告知によれば2007年6月29日である[SRC-01166]。欧州は2007年後半、アジアは2008年に発売するとApple社は予告した[SRC-01160]。
歴史的背景
iPhone発表以前から、スマートフォンと呼ばれる携帯機器はすでに存在していた。コンピュータ歴史博物館の常設展示は、1993年のIBM/BellSouth Simon Personal Communicatorを最初のスマートフォンと位置づけ("the first smartphone")、Nokia 9000 Communicator・BlackBerry 5810・Treo 180等、iPhone以前の携帯機器の系譜を記録している[SRC-01163]。Apple社自身のプレスリリースも、iPhoneのソフトキーボードは多くのスマートフォンの小さなプラスチック製キーボードより使いやすいと比較しており("the small plastic keyboards on many smartphones")、発表文自身が当時すでに複数のスマートフォン製品の存在を前提とした記述をしている[SRC-01160]。
タイムライン
| 日付(グレゴリオ暦) | 出来事 | 出典 |
|---|---|---|
| 2007年1月9日 | Macworld Expoの場でiPhoneが発表される | [SRC-01160][SRC-01165] |
| 2007年1月9日 | Apple Computer, Inc.が定款を変更し、社名をApple Inc.へ改める | [SRC-01161] |
| 2007年(後半・予告) | 欧州での発売がApple社により予告される | [SRC-01160] |
| 2007年6月29日 | 米国でiPhoneが発売される | [SRC-01166] |
| 2008年(予告) | アジアでの発売がApple社により予告される | [SRC-01160] |
| 2008年 | Apple社がiPhone向けApp Storeを開設する(参考情報) | [SRC-01164] |
異説・論争定説のない論点があります
iPhoneの革新性・独自性をめぐる評価には、出典間で温度差がある(本サイトの整理)。発表当事者であるApple社自身は、スティーブ・ジョブズCEOの発言として、既存のどの携帯電話よりも先んじた画期的な製品だと評した("a revolutionary and magical product that is literally five years ahead of any other mobile phone")[SRC-01160]。これに対し、ブリタニカ百科事典は、iPhoneのタッチスクリーン方式のインタフェースについて、独自に発明したのではなく既存の技術をApple社が完成させたものだと位置づけ("perfected, if not invented, by Apple")、iPhoneは複数のスマートフォン製品が存在する市場に加わったものであり、批評家もファンも真に独自の機能は少なかったと指摘したと記す("critics and fans alike noted that it offered few truly original features")[SRC-01164]。両者はいずれも、そのような評価が存在するという言説の存在についての記述であり、本サイトはどちらが妥当かを判定しない。
先行するスマートフォンの存在についても、コンピュータ歴史博物館は明確な記録を残している。同館の常設展示は、1993年のIBM/BellSouth Simon Personal Communicatorを最初のスマートフォンと位置づけ("the first smartphone")、Nokia 9000 Communicator(Webブラウザを搭載したおそらく最初のスマートフォンとされる)、BlackBerry 5810、Treo 180等、iPhone登場以前からの系譜を記録している[SRC-01163]。本サイトはこれらの記録に基づき、iPhoneを「世界初のスマートフォン」とは記述しない。
| 論点 | 説 | 根拠・出典 | 学界での位置づけ |
|---|---|---|---|
| iPhoneの革新性・独自性の評価 | Apple社自身は、iPhoneを既存のどの携帯電話よりも進んだ画期的な製品と自ら評した | [SRC-01160] | 発表当事者(Apple社)自身による自己評価 |
| iPhoneの革新性・独自性の評価 | ブリタニカ百科事典は、インタフェースは完成されたが発明されたものではないとし、独自の機能は少なかったとの指摘があったと記す | [SRC-01164] | 定評ある百科事典による、より抑制的な評価 |
| iPhone以前のスマートフォンの存在 | コンピュータ歴史博物館は、1993年のIBM/BellSouth Simonを最初のスマートフォンとし、iPhone登場以前からの系譜を記録している | [SRC-01163] | 専門博物館の技術史展示による記録 |
関連する出来事
- iPhoneの米国発売(2007年6月29日)は、本記事が扱う発表とは別の出来事である[SRC-01166]。
- 同じ2007年1月9日、社名がApple Computer, Inc.からApple Inc.へ変更された[SRC-01161]。
- Apple社は2008年、iPhone向けのApp Storeを開設した[SRC-01164]。
関連人物
- スティーブ・ジョブズ(すてぃーぶ じょぶず): 2007年1月9日当時のAppleの最高経営責任者(CEO)。Macworld Expoの場でiPhoneを発表した[SRC-01160][SRC-01165]。同じ場で社名変更も自ら発表したと業界メディアは記す[SRC-01165]。
- Apple Inc.: 2007年1月9日、社名をApple Computer, Inc.からApple Inc.へ改めた企業[SRC-01161]。同日、iPhoneを発表した[SRC-01160]。
歴史的意義
コンピュータ歴史博物館の年表は、iPhoneが携帯電話を再発明したものと位置づけ("iPhone reinvents the mobile phone")、そのマルチタッチインタフェースがスマートフォンのデザインに革命をもたらしたと記している("The iPhone revolutionizes smartphone design with its multitouch interface.")。この評価は、発表の日(1月9日)についての個別項目ではなく、米国発売日(2007年6月29日)の項目として同年表に置かれている[SRC-01162][SRC-01166]。翌2008年にはiPhone向けのApp Storeが開設され、開設から60日間で1億件以上のアプリケーションがダウンロードされたとブリタニカ百科事典は記す[SRC-01164]。本サイトは、この製品の技術的・商業的な最終的評価そのものには立ち入らない(本サイトの整理)。
現代の視点
本記事の射程は、2007年1月9日の発表という出来事と、それに続く同年6月29日の米国発売までの経過にとどめる。iPhoneのその後の各世代における仕様変更や、現在の携帯電話市場における位置づけ、現行の競合製品との比較には立ち入らない(本サイトの整理)。
出典一覧
- [SRC-01160] Apple Reinvents the Phone with iPhone/Apple Inc.(Apple Newsroomアーカイブ)(ランクB)
- [SRC-01161] Form 8-K — Apple Inc.(Item 5.03: Amendments to Articles of Incorporation or Bylaws; Change in Fiscal Year)/U.S. Securities and Exchange Commission(米国証券取引委員会・EDGARシステム)(ランクS)
- [SRC-01162] Apple Timeline/Computer History Museum(コンピュータ歴史博物館。米カリフォルニア州マウンテンビュー)(ランクA)
- [SRC-01163] Phones Get Smart(CHM Revolution展示・Mobile Computingセクション)/Computer History Museum(コンピュータ歴史博物館。常設展示Revolutionのオンライン版)(ランクA)(複数の資料を収載)
- [SRC-01164] iPhone | Models, iPhone 17, iPhone Air, Definition, History, & Facts/Encyclopaedia Britannica, Inc.(ランクB)
- [SRC-01165] Apple drops 'Computer' from name/Macworld(Foundry, Inc. / IDG系列のApple専門メディア)(ランクB)
- [SRC-01166] iPhone Premieres This Friday Night at Apple Retail Stores/Apple Inc.(Apple Newsroomアーカイブ)(ランクB)
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訂正履歴
| 版 | 日付 | 事実主張への変更 |
|---|---|---|
| 1 | 2026-09-15 | あり |
| 2 | 2026-09-15 | あり |
| 3 | 2026-09-16 | あり |
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