BBCは1963年11月23日、『ドクター・フー』第1話「An Unearthly Child」を放送した

日付と暦

原典表記
1963年11月23日(グレゴリオ暦)
換算
1963-11-23(グレゴリオ暦)
掲載日
11月23日のページ

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概要

1963年11月23日午後5時15分(17時15分)、BBCは英国内でSF連続ドラマ『ドクター・フー』の第1話「An Unearthly Child」を初めて放送した[SRC-00785][SRC-00786][SRC-00787]。脚本はアンソニー・コバーン、演出はワリス・フセイン、製作はベリティ・ランバートが務め、ウィリアム・ハートネルがドクター役として初登場した[SRC-00785][SRC-00787]。放送前日の11月22日には米国でケネディ大統領が暗殺されており、この放送は「番組編成の見直しにより10分遅れて始まった」と語られてきた[SRC-00785]。しかしBBCが自サイトの「Doctor Who Classic Episode Guide」に掲げる解説(同ページ末尾の奥付が明記するとおり、実際の記述は専門解説書2点——『The Discontinuity Guide』〔Paul Cornell, Martin Day, Keith Topping, 1995年〕と『Doctor Who: The Television Companion』〔David J. Howe, Stephen James Walker, 1998年・2003年〕——のテキストによる)は、実際の遅れは予定の開始時刻からわずか80秒にすぎなかったとする[SRC-00785]。

本文

1963年11月23日は土曜日で[SRC-00787]、当時のBBCテレビは午後1時から午後5時15分までスポーツ中継番組『グランドスタンド』を放送していた[SRC-00786]。その直後の17時15分の枠に、新番組『ドクター・フー』の第1話「An Unearthly Child」が組まれていた[SRC-00786]。当時のRadio Times誌は、この番組を「Dr. Who? そこがまさにポイントだ。彼が何者なのか、正確には誰も知らない」("Dr. Who? That is just the point. Nobody knows precisely who he is...")という一文で紹介し、主演にウィリアム・ハートネルを起用したことを伝えた[SRC-00786]。

物語は、ロンドンのコール・ヒル・スクールの教師イアン・チェスタトンとバーバラ・ライトが、生徒スーザン・フォアマンを不審に思い、彼女の自宅とされるトッターズ・レーン76番地のジャンク置き場を訪ねるところから始まる[SRC-00785][SRC-00787]。二人はそこでスーザンの祖父である老人「ドクター」に出会い、警察の電話ボックスに偽装した宇宙船兼タイムマシン「TARDIS」に引き込まれ、火の秘密を失った旧石器時代の部族のもとへ運ばれる[SRC-00785]。

この第1話は1963年9月から10月にかけてイーリング・スタジオで撮影が行われ、同年10月から11月にかけてライム・グローヴ・スタジオDで収録されたとされる[SRC-00787]。放送翌週以降、第2話「The Cave of Skulls」(1963年11月30日)、第3話「The Forest of Fear」(同年12月7日)、第4話「The Firemaker」(同年12月14日)と、毎週土曜17時15分に1話ずつ放送が続いた[SRC-00785]。

放送前日の1963年11月22日、米国でジョン・F・ケネディ大統領が暗殺された[SRC-00785]。この事件が翌日の報道に与えた影響から、「番組編成の見直しにより『ドクター・フー』第1話の放送は10分遅れた」という理解が広まった[SRC-00785]。しかしBBCが自サイトに掲げる同解説書は、この理解を通説の誤りとして挙げ、「実際には予定の午後5時15分からわずか80秒遅れて放送されたにすぎない」("It was transmitted only eighty seconds later than the scheduled 5.15 p.m.")としている[SRC-00785]。

歴史的背景

『ドクター・フー』は、主人公が時空を自在に旅するという枠組みにより、毎回異なる時代・場所を舞台にできる柔軟なフォーマットを備えていた[SRC-00788]。BFI(英国映画協会)は、この柔軟性に加え、主演俳優を交代させながら番組を続けられる仕組み(後年「リジェネレーション」と呼ばれる設定)が、番組の長い継続を支えた一因になったと位置づけている[SRC-00788]。

タイムライン

日付(暦種別を明記) 出来事 出典
1963年9月〜10月(グレゴリオ暦) 第1話「An Unearthly Child」、イーリング・スタジオで撮影 [SRC-00787]
1963年10月〜11月(グレゴリオ暦) 同話、ライム・グローヴ・スタジオDでスタジオ収録 [SRC-00787]
1963年11月22日(グレゴリオ暦) 米国でジョン・F・ケネディ大統領が暗殺される [SRC-00785]
1963年11月23日17時15分(グレゴリオ暦) BBC、『ドクター・フー』第1話「An Unearthly Child」を初放送 [SRC-00785][SRC-00786][SRC-00787]
1963年11月30日(グレゴリオ暦) 第2話「The Cave of Skulls」放送 [SRC-00785]
1963年12月7日(グレゴリオ暦) 第3話「The Forest of Fear」放送 [SRC-00785]
1963年12月14日(グレゴリオ暦) 第4話「The Firemaker」放送 [SRC-00785]

暦の注記: 上表の日付はいずれもグレゴリオ暦(原典表記自体がグレゴリオ暦であり、改暦境界〔1582年10月・明治5年〕には該当しない)。

異説・論争 — 定説のない論点があります(開く)

「『ドクター・フー』第1話は、ケネディ大統領暗殺報道の影響で番組編成が乱れ、10分遅れて放送された」という理解は語られてきた(BBCが自サイトに掲げる専門解説書が「通説の誤り」としてこれを取り上げていること自体が、この理解の広まりを示唆する)[SRC-00785]。しかし同解説書は、実際の遅延は予定の午後5時15分からわずか80秒にとどまったとしている[SRC-00785]。放送前日にケネディ大統領暗殺があったという事実そのものは動かないが、「10分」という遅延の程度については同解説書がこれを誤りとしている。なお、本記事で確認した資料の範囲では、この80秒という数値を独立に裏付ける複数系統の出典は確保できておらず、同解説書単独の記述にとどまる。

第1話の脚本クレジットについても、同一の出典内で記述に幅がある。BBCが自サイトに掲げる同解説書の配役表は「Writer」欄にアンソニー・コバーンとC・E・ウェバーの双方を記載している[SRC-00785]。しかし同じ解説書内の「通説の誤り」の項目は、ウェバーが第1話を共同執筆したという理解を通説として掲げたうえで、実際にウェバーが書いたのは、当初シリーズの開幕作として構想されながら最終的に不採用となった別の物語『The Giants』であり、コバーンはその草稿から着想の一部を得たにすぎないと説明している[SRC-00785]。Radio Timesの配役表は、脚本としてコバーンのみを記載し、ウェバーの名を挙げていない[SRC-00787]。この記述の割れは、BBC自身が公式クレジットを自ら否定しているのではなく、BBCが自サイトに転載しているテキストの内部での記述差である。

論点 根拠・出典 学界での位置づけ
放送開始はどれだけ遅れたか 通説: 10分遅れた(ケネディ暗殺報道による編成見直しのため) [SRC-00785](BBCが自サイトに掲げる専門解説書が通説として紹介) 同解説書自身が誤りと訂正している
同上 現在の記録: 予定の午後5時15分から80秒遅れたにすぎない [SRC-00785] 同解説書の記載。他の独立系統による裏付けは今回の調査範囲では確保できていない
第1話の脚本は誰か コバーンとウェバーの共同執筆 [SRC-00785](同解説書の配役表) 同じ解説書内の「通説の誤り」節がこの理解を退けている
同上 コバーン単独(ウェバーの寄与は不採用となった別の草稿への着想のみ) [SRC-00785][SRC-00787] 同解説書の「通説の誤り」節、およびRadio Timesの配役表(ウェバーを記載せず)が支持

関連する出来事

関連人物

歴史的意義

BFI(英国映画協会)は『ドクター・フー』を「英国の他のどのテレビ番組とも異なる現象を生み出した」と位置づけ("has created a phenomenon unlike any other British TV programme")[SRC-00788]、番組は放送開始後、玩具・ボードゲーム・壁紙といった関連商品を生むほどの人気を得た("an immediate hit")と評している[SRC-00788]。もっとも、Howe と Walker の『Doctor Who: The Television Companion』(BBCが自サイトに掲げる解説の一部)は、第1話への同時代の一般視聴者の反応が「困惑」や、時には「大笑い」に近いものだったと評しており[SRC-00785]、放送直後から熱狂的に受け入れられたわけではなかったことがうかがえる。

現代の視点

「10分遅れて始まった」という語られ方は、劇的な逸話として広まりやすい。もっとも、これを「通説の誤り」として訂正しているBBCの公式エピソードガイド自体、実は同局が一から編纂したものではなく、ページ末尾に明記されているとおり、市販の専門解説書2点のテキストで構成されている[SRC-00785]。史実の細部は、しばしばこうした「よく語られる数字」と「記録された数字」の間で、さらには「誰の記述か」という帰属の層でも揺れ動く(本サイトの整理)。

出典一覧

  1. [SRC-00784] Doctor Who Classic Episode Guide — An Unearthly Child (Index)/BBC(ランクA)
  2. [SRC-00785] Doctor Who Classic Episode Guide — An Unearthly Child (Details: cast, crew, transmission dates, and corrections to popular myths)/BBC(ランクB)(複数の資料を収載)
  3. [SRC-00786] BBC Television schedule for 23 November 1963 (BBC Genome Project — digitised Radio Times listings)/BBC (Genome Project)(ランクA)
  4. [SRC-00787] An Unearthly Child ★★★★★ — Radio Times (Doctor Who guide, by Patrick Mulkern)/Radio Times (Immediate Media Company)(ランクB)
  5. [SRC-00788] BFI Screenonline: Doctor Who (1963-89, 2005-)/British Film Institute (BFI) Screenonline(ランクA)

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訂正履歴

日付事実主張への変更
12026-09-05あり
22026-09-05あり

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